炭酸ジュース
「さーんお待たせっスー」
「あ、ありがとうー」
夏休み、昼休憩。
みんなで囲んで食べる昼食にも慣れてきた。
お弁当に、飲み物をみんな広げているけれど、私は今日は飲み物を忘れてしまって・・・。
お弁当だけじゃ足りないから購買に行くっていう桃とリョーマに、お茶を頼んだ。
「・・・誰が炭酸買って来いって言ったのよ・・・」
リョーマに手渡された、今は私の手の中にある缶はしっかりと某有名メーカーの炭酸だというロゴが入っていた。
「いや、レモンティー買おうとしたんスけど桃先輩が・・・」
「オイこら!俺のせいだけじゃねーだろっ!?」
お弁当に炭酸って・・・とちょっと困ってる私を余所に、桃とリョーマはじゃれ合い始めてしまう。
まぁ、いーけどさ。嫌いじゃないし。
「ちゃん、俺のお茶飲むかい?」
横からかけられた優しい隆の声。
うん、隆ならそう言い出すと思ってたんだ。でも、私は隆にニッコリ笑って返した。
「ありがとう!でも、炭酸だったら余計今飲んじゃわないとぬるくなったらマズイしねぇ」
「あ、確かに」
そう言いながら、プルタブを開ける。
ぶっしゅーーーーーーっ!!
・・・ありえないし・・・。
プルタブを引いた瞬間に噴水の如く水柱を立てた手の中の物体。
「・・・っあんた達ねぇ・・・!!」
「「俺じゃないっス!!」」
いくら夏とはいえ、炭酸なんか浴びたくないのよっ!!
やたら苛立つ気持ちに任せてほとんど空になった缶を投げつける。
「ひっ!!」
「先輩・・・落ち着いて・・・」
とにかく落ち着かせようとする2人の後輩がまたムカついた。
この悟に及んでその逃げ腰!なんなのっ!!
とにかく苛立つ気持ちに任せて、仁王立ちになって睨みつける。
パサッ
「ちゃん」
「なに。止めないで、隆」
肩からかけられた隆の大きいジャージ。
普段は安心をくれるけど、今はそんなレベルの怒りじゃ・・・!!
「それはあとで好きなだけ怒っていいから、ひとまず部室行って着替えてきて欲しいなぁ」
「はっ?!・・・・・・・・・・・・・・・げっ」
少し怒った口調に、自分の姿を見れば・・・なんであんだけ勢い良くかかったのに今まで気付かなかったのか、
Tシャツは少し透けていて・・・。
「い、行ってきます・・・」
とりあえず、ダッシュで逃げた。
「あ〜あ、おチビと桃、タカさん怒らせちゃった〜」
「「・・・・・・」」
「まぁ、タカさんが怒るのも無理は無いよな。桃、越前、やりすぎだぞっ」
「「すいません・・・」」
がいなくなった途端、少し緊張が解けたのか菊丸と大石が場を取り繕う。
そして・・・。
「二人共、校庭50周今すぐ行ってこい」
「「ハイ・・・」」
手塚の号令が下ったのだった。
「河村、アレで許してもらえないだろうか・・・?」
号令を下した後、手塚は河村を見て控えめにそう言った。
河村は少し驚いた表情をしながらも、取り繕おうと務めようとする。
「いや、別に、怒ってっていうか・・・怒ってないわけじゃないんだけど、その・・・」
確かに怒ってはいるのに、それすらとまどってしまうような不器用なその優しさ。
生意気だ、とか色々言われてはいるけど、河村にとっては桃城も越前もかわいい後輩。
本当は、悪ふざけをしすぎた2人にそんなに怒っている訳ではなくて、皆にああいう姿を見られたくない嫉妬心から
少し不機嫌なんだ、なんて言える訳がなくて。
河村隆はとりあえず、部室で着替えているであろうを心配して空を仰ぎ見た。
終
20100329:気持ち校正