日焼け
「隆!晴れてよかったよねっ!」
そう言って笑う、彼女のちゃん。
部活が忙しくて、お店の手伝いもやって、この夏休みは一緒に居てあげられる時間なんて全然無かった。
彼女がプールに誘ってきたのは、そんな忙しい夏休みも終盤に入った頃だった。
「もうクラゲが居そうだしさ、プール行かない?一日だけでいいからさ、遊びたいなぁ〜なんて・・・」
ちょっと遠慮気味に言うちゃんに、断る理由なんて無くて、その場ですぐにOKした。
俺だって、一緒に遊びたいって思ってたから。
そんな、待ちに待ったデートの日は、もう9月も近いっていうのに未だに夏日の日本晴れ。
良かった・・・せっかくのプールなんだから、思いっきり遊びたいよね!
「ちゃん、あんまり走ると危ないよ?」
「うんっ♪」
はしゃぐちゃんの隣に立つ。
嬉しそうな姿だけでこんなに幸せな気分になれるんだなぁって思う。
好きになって、告白して・・・付き合う前は、こんな気持ち知らなかった。
うん、俺・・・幸せだなぁ。
「じゃあ、またここで待ち合わせだね」
「うん、きっと隆の方が早そうだけど・・・待っててね」
「もちろん」
脱衣所に向かいながら、ドキドキする気持ちを抑えようと思うんだけど・・・駄目だった。
しょうがないよな・・・学校の授業以外、外のプールなんて初めてだし・・・俺って、Hかなぁ・・・。
ちょっとした罪悪感を感じながら、俺はロッカーを見つけて水着に着替える。
気をつけててもどうしてもなってしまう、半そで焼け。
別に気にしないけど、こうやってプールとか来てみると・・・ちゃんが恥ずかしい思いするかなぁとか色々考えて
しまったりして。
そんな事を思いながら、早々に着替えも済んでしまう。男だしね。
要るのはー・・・お昼代とタオル・・・かな?
ロッカーに鍵をかけて、男子更衣室と女子更衣室の真ん中にある通路のベンチに座った。
なんだか・・・ドンドン緊張してくる。
高まる緊張感と同時に、今更しょうがないのにやっぱり自分の日焼け跡が気になって・・・
あ、どうしよう。
思いついたのは、明日の事。
二人で焼けて部活行ったら、ちゃん、皆にからかわれちゃうかなぁ・・・日焼け止めとか、俺持って来なかったなぁ・・・。
どうしよう・・・なんて、普段こんな事絶対思ったりしないのになぁ。
なんか・・・くすぐったい。
「隆っ」
来たっ!!
真後ろから呼ばれて、緊張感も最高潮・・・鼻血出たらどうしよう、なんて思いながらゆっくり振り返る。
「・・・どう、かな?」
「か、か、かわいいとお、思うっ!!」
・・・思い切りどもって、俺って本当かっこ悪い。
でも・・・本当にちゃんはかわいかった。
今日は、日焼け止めは要らない。二人で焼いて帰ろう。
それで明日、みんなの前に日焼した二人で現われて、ちゃんは俺のなんだゾ、デートしたんだ!って
口に出さないで自慢してやるんだ。
・・・俺ってセコイかな?
終わり
20100329:校正