+ぶっちゃけ話





「ねぇ、河村君・・・今日部活帰り一緒に帰っていいかな?」
「あ、うん」



昼休み、一番仲のいいクラスメートのちゃんがそう告げてきた。
彼女はいつも元気で、部活が休みの日に何回か遊びに行った事もあった。
時々電話でも話したりして・・・俺は彼女が本当は好きなんだけど・・・でも、俺には眩しすぎて。
息抜きに付き合えるだけでも幸せだと、そう、思ってる。


彼女、ちゃんは家の仕事を手伝っていて、帰宅後は家の経営するパン屋さんで働いているらしい。
なんとなく、そんな所が似てるねって話すようになって、ある日、ちゃんの方から買い物に付き合って
と頼まれて。

最初に出かけたのは地元のちょっとしたショッピングエリア。
友達の誕生日プレゼント選びたかったんだそうで、色々見て決まった後は昼飯を一緒に食べて、帰ろうと
した所で偶然にも桃と越前に会っちゃって・・・散々冷やかされた上四人でカラオケに行った。

二回目は
「大変河村君!映画の試写会当たっちゃった!!」
というちゃんからの電話で、一緒に映画を見に行った。

三回目は、もうすぐ梅雨だし梅雨明けして人でいっぱいになる前に海が見たいなぁと呟くちゃんを、
俺から誘った。

会う度色々な一面を発見して、その度に俺は彼女への「好き」を大きくさせていったけど、彼女は元気で
友達も多くて、みんなに好かれていて・・・俺には、やっぱり眩しすぎた。
これ以上は、踏み込めない、踏み込んじゃいけないって思ってた。












「ごめんね、待った?」
「ううん、私も委員会あったから。部活お疲れ様☆」



テニスコート脇のベンチに座っているちゃんに呼びかける。
そのまま座る事なく、先を促すように立ち上がった彼女の隣立って俺達は歩き出した。

話すのは、今日の出来事、たわいのない会話。
でも、どことなく2人の間に流れる緊張感とわざわざ俺の部活終了までちゃんが待っていたという事実が
少なくても軽くない話を彼女はしたがってるっていう事がわかる。

どこかで立ち止まった方がきっと話しやすいよな・・・そう思って顔を上げたその先に見えた、公園って呼ぶ
には小さすぎる<空き地>。



ちゃん、あそこ、寄ろうか?」
「あ、うん」



一瞬、彼女の表情が強張ったのが見えた。












入り口脇のベンチに座る。
俺の横に座るちゃんの表情には<不安>がありありと出ていて・・・そんな表情は、初めてだった。
そして少しの間の無言。
その表情から、きっとちゃんは話し方を模索しているっていうような感じで。
俺は、彼女が話し出すまでは黙っていようと、思った。



「ありがとうね・・・」
「なに?」
「気、使ってくれて」



そんな事、ちゃんの為ならいくらでも。
そんな風に思うのに、口に出せない自分がただ、もどかしい。



「あのさ、ちょっとね、ぶっちゃけ話・・・したかったんだよね」
「え?」



そう言って上がったちゃんの顔にはまだ<不安>と、さっきまでは無かった<覚悟>みたいなものが
混ざっていた。



「河村君って、誰が好きなの?」
「・・・え?」



まったくもって予想外な言葉。
先の展開が全く読めなくなってしまった・・・。あ、恋愛相談かな・・・?
モチロン、好きなのは君、なんて言えるわけもなくて。




「河村君みんなに優しいしさ、全然わかんなくて・・・」
「え?え?」



そんな事ないよって言いたかった。
俺はそんな聖人君子じゃない。



「・・・私が河村君好きなの、わかってる?」
「・・・・・・」
「やっぱり・・・」



真っ赤になって、涙目で俺を睨むちゃん。
・・・かわいい・・・って、そうじゃなくて!!
だって、みんなに好かれてて、俺にとってちゃんは手の届かないような人で・・・この一線は、
超えようとすら思っちゃいけない人で・・・。









でも、ちゃんは、俺が・・・?









みんなに好かれてて、人気者のちゃん。
もし、もし・・・今ちゃんが言った事が本当なんなら、夢じゃないんなら・・・俺は、俺の取る行動は一つしかない。
眩しいと思う程大事な彼女が、俺を好きって言ってくれるんなら、俺は全力でちゃんを守っていこう。
それが、男としての俺の答え。






「俺はさ、誰にでも優しいつもりは無いんだよ。ちゃんだから、優しくしてあげたいって、思ってた。
・・・俺、ちゃんが好きだ。」












END



むしろ私を一生守って下さい(図々。