上へ上へ。いっその事、一番上まで行ってやれ、と思って辿り着いた先は、屋上。
まだ少し肌寒いけどお日様と風が気持ちいい・・・花粉症じゃなくて良かった、なんて、ちょっと思ってみたりして。
でも、でもさ・・・ここって逃げ場ないよね・・・エヘヘ。
以外と広い屋上を歩きながら、いざという時の為にどう逃げるか、なんて考えながら、給水棟の横に差し掛かった時だった。

「あ、乾」
「お、

乾が給水棟の壁に寄りかかってサボっていた。上げた声は、同時。

「サボリはっけ〜ん」
「・・・お前もだろうが」

少し揶揄気味に話しながら乾の隣に立った私に、乾は半ば呆れながら呟く。
・・・違うもん。

「違うよ〜だ。私は、上へ、上へ登ってきたら屋上に出ちゃっただけで〜す。」

そう答える私に、乾はまた呆れ気味に私に呟いた。

「そりゃ、上にひたすら昇っていけば屋上に出るだろうな・・・」
「まぁね」

わかってるよ、そんな事。
いーじゃん。だって、空が一番近くに思えるんだもん。一番、学校の中で好きな場所なんだもん。
風が、強すぎず弱すぎない丁度いい強さで吹く。
ここで、こうやってグラウンドを眺めてるのが好きなんだ。

「乾は、なんでここに来たの?」
「なんでだろうな」

答えになってないよ。
なんとなく乾を見ると、変な感じがした。なんだろう・・・なんでだろう・・・?
少し考えてみて、一つの事に気が付く・・・そっか、めずらしく私が乾を見下ろしてるからか。
いつもは絶対に見えない乾のツムジが目の前にあって、なんだかこそばゆい気分になった。こんなに近い位置で離すのなんて、
すごく久しぶりじゃない???

「なんだ?」
「ん?」
「いや・・・さっきから視線を感じるなと思って。」
「・・・なんでもないよ」

穏やかな、部活中とは思えない、さっきまでの賑やかさが嘘みたいな穏やかな時間。
いいね、なんだかこんな空気、今まで無かったよね?
乾と一緒だとこんな空気になるのかなぁ?
そう思っているたら、ふいに乾が立ち上がろうとした。あーあ、なんだ・・・もう立っちゃうのか・・・。

「もう行くの?」
「いや。話してていいんなら、まだと話していたいかな」
「偶然、私もだ」

乾ってさ、大人だよね。ガキだけど、こういう雰囲気って、同い年の子ってなかなか作れないと思うよ。
・・・そんな乾が好きなんだよねー・・・。















「オイ、そういえば屋上ってまだ見てねーよな???」

いきなり聞こえてきた誰かの話し声。
ヤバイ!!誰か追ってきた!?焦りながら、いざ警察が来た時に隠れる場所を捜して無かった事を
思い出して、乾を仰ぎ見る。
と、腕を軽く捕まれた。

「い、乾?!」
「来たか・・・、こっちだ」

乾に腕を引っ張られて、二人で隠れたのは給水棟の陰。
屋上の出入り口からは死角になっていて、屋上にちょくちょく来る人じゃないとわからないような場所だった。

「乾・・・よくここ来るの?」
「・・・・・・」

無言で大きな手で口を塞がれた。
そうだった、警察が居るんだった・・・。
しばらくそのままで、警察の誰かわからないけど部員がどこかに消えるのを待つ。
気づけば、私は乾に後ろから口を塞がれる、というなんとも怪しい体勢になってしまっていた・・・。
でも、そんな状況でもついつい思ってしまうのは・・・乾ってやっぱ背、高いんだなぁ・・・なんて事で。

「屋上はもういーよ、下行こうぜ。俺花粉症なんだよ」
「マジかよ!ダッセー!」
「そんな事言うけどなぁ・・・」

そんな声と一緒に足音が去っていった。

「ねぇ、乾?」
「ん?」
「私さー乾が好きなんだけど」
「・・・・・・それは初耳だな」
「だって初めて言ったもん」

思えば、部活のケイドロの最中。隠れた給水棟の陰。
結構マヌケな告白・・・。

「俺も、好きだけどな」
「・・・それ、私も初耳です」
「言ってないからな」

恋愛小説とか、少女マンガにあるようなすごいドキドキはしないけど・・・でも、この穏やかドキドキ感が私達らしい。

「このままここで二人でサボっちゃ駄目かなぁ・・・?」
「駄目だろうな」
「えー、いいじゃんかたまにはー」
「そうもいかないな・・・」
「なんで???」
がマネージャーで泥棒で、俺は選手で警察だから」










・・・・・・はめられた。








乾  ED    END
20100330:改訂