上に登っていって、まっすぐ行って、辿り着いた所は音楽室だった。
中央にピアノがあって、その周りにはピアノを囲む様に扇状にサイドボード付きのイスが並んでいる。
いつも使っている音楽室だけど、いつもはみんなと居るせいか一人で居ると、少し・・・寂しい気分になってくる。
なんでかな・・・天井高いからかなぁ?
ポーン・・・
鍵盤を開けて、弾けもしないピアノの音を出してみる。
ピアニストって、かっこいいよね。よく指があんなに動くもんだと思うよ。
そのまま、何を弾くでもなく色んな音を出してみる・・・あーあ、ピアノ弾けたら気持ちいいだろうなぁ〜・・・。
「おや、?」
「え、竜崎先生?!」
誰かが呼ぶ声に反応してみると、準備室の扉からなぜか竜崎先生が・・・。
「先生、なんでこんな似合わない所に居るんですか・・・?」
「似合わないだけ余計じゃないかい?・・・吹奏楽部の顧問に用があって来ただけじゃよ」
失礼な事を言うのぉ〜と呟きながら私の横に並んできた。
「お前、今ケイドロの最中なんじゃなかったかの?」
「はい。私は泥棒で、ここに隠れにきたのです。」
「・・・隠れに来ておいてピアノ弾いてたらすぐに見つかると思うんだが・・・」
竜崎先生は、ちょっと呆れ顔で私を見る。
だって・・・隠れて逃げ回ってるだけなんてつまんなくないですか・・・?
私は、そんなのつまんないなぁ・・・。
「先生、なんで今日ケイドロになったんですか?」
「ん?あぁ、うちのテニス部も祭好きが多いだろう?たまには運動しながら遊ぶか?って言ったら、
それならケイドロがしたいと・・・不二がな、言い出しおったんじゃよ」
私を横目で見ながら、竜崎先生はニヤッと笑った。
不二か・・・言いそうだ。確かに、言いそうだ。
「なるほどね・・・」
「さ、そろそろ逃げ回って走ってもいい頃なんじゃないかい?」
「・・・へっ?」
竜崎先生の言葉の意味がわからなくて、先生の顔を凝視する。
すると、グッと背中の方から天井に向かって半重力が掛かる・・・?
「せ、先生っ!?」
そう、私は先生に持ち上げられていた・・・なんてこったい。
「な、な、なにをするおつもりで・・・?」
「こんな所でコソコソさぼってないで、もテニス部のマネージャーならマネージャーらしく、みんなと一緒に走り回ってこい」
先生はまたもニヤッと笑って・・・私を音楽室の扉の外へ放り投げた・・・。
「せ、先生!なんて事・・・」
「先輩発見ー!!!!!」
「はっ!?」
叫び声に振り返ると、2年の荒井・・・ヤベェッ!!あいつ確か警察だったよねっ!!
「うわぁぁぁ〜〜〜〜ん!!先生のイヂワル〜〜〜!!!」
マネージャーはマネージャーらしく、こそこそ隠れて終わってやろうという甘い考えは、
見事に竜崎先生という伏兵によって壊されたのであった・・・む、無念・・・。
竜崎先生ED END