ドロボウ、とりあえず下へ向かうの巻!!
実は私には、今日がケイドロだと聞いた瞬間から行きたい所があった。
そこは・・・

「ゲッ!なんで大石見張ってんのよ!!」

校舎以外は使用禁止このルール、だからって下駄箱見張らなくてもいーじゃんよー!!
ちっ・・・しょうがない、裏から行くか。
校舎の裏側へ走り、裏庭へ続く窓枠に手をかける。






そう、私が行きたいのはプールだった。






どこの特別教室や教室でもなく、ちょっと寒いこの時期にプールサイドでぼ〜〜〜〜〜〜〜っと・・・って、
実は一回やってみたかったんだよねっ!!
大石はまださっきの昇降口に居るハズだし、行くなら今だ!

「あれ、ちゃん?」



ギックウッ・・・!!

恐る恐る振り返る・・・



「タ、タカさんか・・・焦ったぁ」
「あ、驚かせたかな?ご、ごめんね」
「いや、平気。どうしたの?」
「えーと、その・・・あの、さ・・・」

なかなか言い出さない上タカさんとの視線がさっきから合わない事に気づいた。
ん・・・?
フト、自分のしている格好に気が・・・つく。
窓の両脇に手をかけて、スカート短いのにちょっと高い位置にある窓枠に片足をかけていた。
パン、ツー、丸、見え。
・・・これじゃあタカさんもこっち見れない訳だよね。
ごめんごめん。そう言おうと思った時、背中の方から声がかすかに聞こえた。

「よしっ!!じゃあ警察のみんな、スタート!!!」

ヤバッ・・・!!

「タカさん!早く!!」
「え、え?!」
「いーから早く!」

見られたからには道連れにしてやる!とタカさんを呼びながら窓枠をジャンプして飛び越える。
1,2歩先へ進んで 「タカさん、こっち!」と声をかけると、意を決したようにタカさんは今まで私が足をかけていた所に
同じように足をかけて・・・





ジャンプ、した。





キレイ。
パワー型なタカさんだから、筋肉ばっかついてて体重いのかと思い込んでたけど・・・以外に軽々と、
その長身が飛んだ姿は思いのほかキレイだった。

ちゃん?」
「あ、うん。行こう!」

タカさんを誘導するように、先に走り出す。
後ろに居るタカさんの気配を感じながらも、さっきの光景が忘れられなくて、少し早い自分の鼓動が
不思議に感じながらもなんだかすごく楽しい。










































「プール?」
「うん。なんだかこの時期にプールサイドでぼ〜っとしてみたくて。」

横に座るタカさんは全くもって予想外だったけどね。
それから、さっきから早く鳴りっぱなしのこの心臓も。
私たちは無事に見つかる事もなくプールに到着して、二人して肩を並べてプールサイドで座っていた。

「タカさんさぁ?」
「ん?」
「結構飛べるんだね」
「え?」

そっとタカさんを見ると、すごく不思議そうな表情をしている。

「さっきさ、窓から飛んだじゃん?飛んだって言っても一階からだけどさ」

一言ずつしか話してないタカさんの「?」な表情がやっと「わかった」って感じになった。

「飛んだって言っても、飛び降りただけだよ?」

控えめに言う所がタカさんらしいよね。
苦笑を浮かべて、それでもちょっと表情が照れてる所が・・・かわいいかも・・・?

「そんな事ないよー!なんかね、結構飛んでてビックリしちゃったよ!」

それから、キレイだったんだよ?・・・なんて、言わないけど。
タカさんは、水面を見ながらボソッと言った。

「菊丸みたいに飛べたら気持ちいいんだろうなぁ」



ビックリした。
まさかタカさんがそんな事考えてるなんて、思いもしなかった。

「タカさん?」
「あ、なんでもないんだ。気にしなくていいからね」

ハッとして、それからニコッって笑って。それがなんだか返って切なくなっちゃって・・・。



「私タカさんのプレイ見てて、強い打球がバーンって・・・カッコいいって思ってたよ?」
「・・・ありがとう」
「お世辞じゃないよ?本当にそう思ってる。だって、確かに菊丸の身軽さは羨ましいモノがあるし・・・でも、私は
タカさんみたいな強い打球打つような方がスカッとするしさ、せこせこしてないし、いざって時にはそのパワーが
女の子的には安心出来ていいんだよっ!!」

あぁ・・・もう何を言ってるのか自分でもわからない・・・。
一生懸命になりすぎて、フト気づいてタカさんを見ると顔を腕にうずめている。
肩が震えて・・・泣いて・・・?



「・・・プッ・・・」





笑っとるー!!



「な、なんで笑うかなぁっ!?」
「や、ごめんごめん!!なんかすごく一生懸命な顔見てたら・・・」
「おかしくなったってかー!!」



ウガー!!



ちょっと、マジで拗ねだした所。
タカさんの表情がすごく柔らかくなって、笑った。



「嬉しかったよ。・・・ありがとう、ちゃん」

その表情が今まで見た事が無い位優しくて・・・本日最大級のドキドキが、キタ。

「さ、そろそろ校舎に戻ってケイドロ参加しよっか」
「う、うん・・・」

差し出されたタカさんの手を掴んで立つ。
どうしよう、私、タカさんが・・・好きになっちゃったかも?
行きとは反対に、私の前に立って歩くタカさんの背中がやけにまぶしく感じられた。
でも、すごく、その事が嬉しいと思った。





タカさん ED     END
20100330:改訂