でも次の日以降、2日経って3日経っても特に何も無い日が続いた。
私はいつも通りマネージャーとしての雑務に追われ、乾も相変わらずかなりの練習メニューをこなしているらしかった。
このまま何事もなく、私の一年は終わるのね、と後悔が頭をよぎりながらも思っていた。
しかし。
「、ちょっと職員室に来い」
「あ、はいー」
中間も終わったある日。
こんなに天気がいいのに。
こんなに程良く風も吹いていて格好のマネージャー日和なのに。
「化学、お前追試な」
・・・追試をくらった。
なんでも一行ずつ間違えて答えていたらしく、渡された答案用紙には0点の横にカッコで実点数が書かれていた。
なんてことだ。
「追試って言っても同じ問題をやればいいから。ただ、今日先生会議で見てられないんだよ」
「ハァ・・・」
「で、一応乾に付いててもらう事になったから。」
「ハァッ?!」
ヘコムよ・・・何なんだよもう・・・。
「丁度手が空いてそうだったから、頼んでおいた。」
・・・・・・凹み度MAXだよ・・・・・・。
その日の放課後。
なぜか私は乾と教室にいる。
あぁ・・・追試を報告した時の手塚の呆れたような目が忘れられないわ、私・・・。
「ハイ、じゃあプリントこれとこれね」
「アリガトウゴザイマス」
乾は机を一つ挟んだ向こうの前の席につき、時計を一応見る。
私はプリントをもらってすぐ書き出す。
なんでよりによって久々の乾との2人きりタイムが追試なんだよもう!!
開始10分、答えを覚えきれなかった私は再び問題を解いていた。
「」
「何」
「ドジだとは思っていたが、ここまでとは・・・」
動いていたシャーペンが止まる。
頭を上げると乾と目が合った。
「失礼ね・・・否定出来ないけど」
乾が笑う。
なんかこの感覚・・・乾と2人のこの空気の感じ、久しぶりかも・・・。
「一緒に改良してた時も分量間違えたりしてたしな」
なんかすでに懐かしい気がするあの家庭科室・・・。
その風景を思い出して・・・
急激に胸が高鳴った。
そうだ、2人きりなんじゃんーっ!
「わ、忘れて下さい・・・」
声、ふるえてるよ・・・どうしよう・・・
「まったく、お前と居ると飽きないな」
・・・っっ!!
どういうイミですかソレッ?!
一緒に居て楽しいとか思ってくれちゃってるって事ですかっ!?
あぁ・・・追試中だってのに自分にとって都合のいい展開にしか頭が働かない!
「なんですかソレ」
かろうじて出した返事はちょっと震えている。
そっけなく、そっけなくよ、!!
頼むから冷静になって、私の脳味噌!!
・・・でも、なんて告るのに丁度いい状況なのかしら・・・。
とか思ってた。
「面白くて好きだよ、その性格」
「わ、私も乾好き!!」
余計な事考えてて気付いたら告ってたよー・・・って、アレ?
・・・・・・・・面白くて?
「・・・っ!わ、私も乾面白くて・・・す、すきだよ・・・」
って、もう遅いよ・・・乾びっくりしてるよ・・・っていうか、かつてない程無表情だよー!!!!
「な、なんでもない!!」
逃げよう!とりあえず逃げよう!!イスから立ち上がってダッシュよ、私!!
追試中という事も忘れて、大きい音を立てて立ち上がる。
このまま、とりあえずこの場から離れられればそれで良かった。
しかし、またもや腕を掴まれて・・・
「逃がさせて下さい・・・」
「いや、追試中でしょ。ハイ、座って。」
あぁぁぁぁ・・・追試が憎い・・・
死にものぐるいで10分、いやあと5分で終わらせてやる!!
私の指と脳味噌は、かつてない程のスピードで仕事をしていた。
・・・後で乾が言うには、鬼の様な形相だったらしい・・・恥!!
「はい、終わったー!!と、いう事で!!!」
プリントを置いて席を立って、今度こそ逃げ・・・させてよぉ・・・
立ち上がったものの、私の腕はまたもや乾に捕まれている。
「すいません、本当すいません・・・」
「何謝ってるんだ?」
「帰らせてぇ〜・・・」
きっと今の私はとんでもなく情けない顔をしているに違いない。
これ以上恥を晒したくなーい!!
と、頭の上に手の平が乗った。
「まぁ、落ち着け」
「イヤ、無理っす・・・」
逃げる事も半分諦めた。腕を掴まれていて、頭の上には乾の手。
今例え襲われても私は逃げられない・・・イヤ、それはないか・・・フラれて終わるのがこの状況の妥当なオチだろう。
「が俺に惚れる確率は75%」
「・・・はっ?」
頭には手が乗っているので目だけ上へ。
「2人きりで家庭科室で数日過ごしたり・・・まぁ自主トレがバレタのは予想外だったが結果的にはプラスだったんだろう」
何を言ってるんだろう、この口は・・・
「本当は、その後も色々話したりする予定だった。それは上手くいかなかったが、俺なりにの視覚内に入り込めたとは思ってる」
「どういう意味?」
「が好きなんだよ。だから、色々一緒に行動をして俺に目を向かせようと思った」
「・・・謀られたんですか?」
「ああ」
「ナニソレー!?」
嬉しいんだけど・・・ムカツク!なんかムカツク!!どうしたらいいんだこれは・・・!!
訳がわかっているようで実の所グチャグチャな頭を抱えていた。
が・・・
頭に乗っていただけの手が動いて、そのまま撫でてくれる。
・・・・・・。
「謀られたんだとしても、乾を好きになるって決めたのは私だから。」
私が赤い顔をして見上げると、乾は嬉しそうに笑っていた。
「もちろん、俺も賭けだったわけだし。それにさすがに心の中までは手出し出来ないしな」
そう言って、抱きしめてくれた。
「・・・あ、あと」
「なに?」
乾の胸は厚くて、暖かくて心地いい。クセになりそう・・・と思っていた矢先ー。
「追試も予想外だったな」
「うるさい!!」
抱きしめられてる状況はそのままに、私は脇腹に一発パンチをくれてやった。
・・・全然効いてなかったけど。
終わる。
20100330:改訂