恋する気持ちって、大体みんな同じ。
「気になる」から「好き」になって、「モーレツに好き」になって、そこから「あなたしか見えない」になるか
「過去の青春」になるかはその人次第だけど、やっぱりみんな大体考える事は同じだと思う。

「私 又は 俺 を見て欲しい」

そうじゃない?







一般的に「恋愛」というのは、どうやら”恋”をすると脳内から「PEA(フェニ―ルエチルアミン)」という麻薬物質が
大量に流れ出し一種の脳内麻薬中毒になる。その症状にかかった状態が、”恋”。
つまり<恋愛中毒>、そしてつまり<恋は盲目>状態・・・と、そんな事はさておき俺はみんながその”恋”に
なんで夢中になるのかが全くわからない。

今までに”恋”と呼べるものはない。
それこそ幼稚園の頃とか、一緒に遊んでいて楽しい、だとかそういう事はあったが・・・どうも”恋”とは呼べないと思う。

・・・どっちにしろ、俺に恋は無縁だな。








恋愛中毒患者









一年の時同じクラスで、当時チビだったけどなんとなく可愛くて・・・気になってた乾と三年でまた同じクラスになった。
いつの間にか背が電柱みたいに高くなってた乾に対する思いは,<可愛いメガネ君>から<無愛想なノッポ>
に外観は変わったけどそれと共に<気になる子>から<好き>に・・・まるでセオリー通りに進化した。
そんなもんだから、三年目のクラス編成を見た時の感想は、もちろん 「ヤッター!!」







三年になって第一日目、自分のクラス確認と、同じクラスにテニス部の奴が居るかどうか確認だけして、
LHRを受けにクラスに入った。
張り出された紙では目に留めなかったが、教室の自分の席について
(この段階では前から二番目。なぜなら”天野”が居るからだ)
周りを改めて見回すと、早速友達としゃべっている が目についた。
−−−一年の時も同じクラスだったな。
確か・・・後先考えずに行動して墓穴を掘るタイプだった気がする。・・・賑やかになりそうだな。
彼女についてはいやな印象は無い。
・・・むしろ、馬鹿騒ぎをせずに周りを明るくするタイプなので好印象だと思っている。

ん?その隣で男同士で話してる男は確か・・・







<恋は盲目>って本当なのかな?
友達が乾の事、キモイって言うんだ。

「乾ってさーキモくない?」
「そっ!!・・・な、なんで?」

彼女は乾の斜め後ろに座っていて、正直いつも乾を見られて羨ましい・・・。

「?・・・授業中に空気イスやってんだよね」
「空気イス?マジで? (可愛くない!?)」
「なんかプルプルしてんの。しかもノート取ってないっぽいんだよねー・・・イ ヤ ミ!」

常に成績はトップ、なのに授業をまともに聞いてないらしい。
彼女は苦虫を潰した様に「あ〜やってらんない」と続けている。

プルプルしてる乾、見たい・・・!!
盲目なのかな、これって?でも本当に可愛いと思うんだけど?!
あぁ、早く席替えしないかなー。







席替えをした。
やっぱり俺の身長で前から二番目に居ると後ろからの苦情が多いらしく、思っていたよりも早かった。
席替え後の隣は さん。・・・俺の隣っていうのは、驚く事なのかな?

「やぁさん。一年振り」

それともいきなり声かけたからビックリしたのかな?
でも、やっぱりさんは変わってなかったな。
国語の時間先生の授業から離れた話の質問に墓穴を掘ってた。

「伝記とかみんなは読むのかな?えーと・・・じゃあー
「えっ?!あ、あーハイ」

これがどうやら適当に言っただけらしく。

「誰の伝記を読んだ?」
「えーと、その、キ・キュリー夫人、とか?」

どうやらこれも嘘。

「感想は?心に残ったエピソードとかあるかー?」
「あの、えっと・・・本人が思ってた使い方と・・・実際の発明品の使われ方が違うのは・・・可哀想だなーなんて
・・・あは、あはは」

・・・それはエジソンだよ・・・。







やってしまった・・・なんで私ってこうなんだろう。
よりによって乾の前で先生相手に適当な事を・・・!!適当な返事を考えナシにするから、
結局誤魔化す為に嘘つくハメになって、バレル。
バレた時の後味の悪さったら・・・ガックリ。
結局教室中みんな大笑いしてたっけ・・・もちろん乾も・・・肩震わせて笑ってた。

そう・・・私、素直に生きよう!!困った時に嘘は吐かない!!適当な事を言うのは辞める!!


・・・その誓いに忠実に生きたら、今度は授業中「わかりません」を連発する事になった・・・上手くいかないもんだねぇ。







は、どうやら勉強全般が苦手らしい。最近先生に答えを求められる度に<わかりません>を連発している
・・・しかも、すごい決意に満ちた目をしながら。

「じゃぁこの問題を、!」
「わかりません」
ー・・・お前少しは考えようという姿勢を見せてくれよ」

適当に答える事が無くなったけど、それでも面白いものが見られてるのは変わらない。
も面白いし、困り果てた様子の先生方も見物だ。

は、勉強苦手なの?」
「あ、乾・・・うん。」

項垂れた様子がまた面白いな。

「もうすぐ中間だけどそんな事で大丈夫なのか?」
「へっ!?中間?」
「・・・知らなかったのか?」
「全然」

鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔で俺を凝視する。
毎度毎度中間・期末の時期なんて大体同じなのにそういう事がまず頭に無いんだろうな、この子は。

「ヤバイ・・・」
「・・・ヤバイ???」
「あ、いや・・・こっちの話で・・・」

は触れられたくない話に触れられたかの様にすごい困った顔をして愛想笑いを浮かべた。
俺はなんだかそれが・・・面白くないらしい。







もうすぐ中間だってか・・・。

乾が授業中に、中間がもうすぐだって教えてくれた。
実は・・・ヤバイ。うちは私立だからもちろん、エスカレーター式で上に上がれる。
問題は高校に入れる入れない、じゃなくって・・・部活。二年の終わりの期末試験で結果が散々だったのだ。
おかげさまで私が所属してる陸上部の部活顧問に呼び出しを食らって・・・三年の初めの中間で赤点が二つ
以上だった場合、陸上部不相応っちゅー事で強制引退にかけられる事になっていた。
そんなのは・・・絶対嫌だぁ・・・。
私は優秀な陸上選手じゃない。飛び抜けて走るのが速い訳でもなく、ハードル走も一般生徒に比べれば早いという位。
せいぜい・・・砲丸投げが「市で3位」な程度。どこにでも居るような・・・ただ陸上競技を楽しんでるだけの女子生徒。
でも、だから!部活引退、それもみんなより早くなんて耐えられない!!
と、いう訳で学校終わった後にでも学校で勉強する事にしました★・・・家に帰ったら絶対に勉強なんかしないから。
・・・そうだなぁ・・・明日から。







なんか最近の元気が無い。
考えた所によると中間の話をした頃から・・・そんなに勉強が嫌いなのか?
にしても、よくよく考えたら席替えしてからとよく話すか考えるかしてる気がする。







明日から、明日から・・・と言っていて気付いたら中間試験まで今日入れてあと三日になってしまった・・・。
THE・ヤヴァイ。
今日こそ、コナクソー!!といきおいに任せて図書室で一人教科書を開く。
・・・全然わからないよ・・・。何がわからないのかがわからない。
私は図書室を、教科書を開いて15分で職員室に向かって飛び出した。

「先生!!」
「ん?か。めずらしいなーどうした?」
「何がわからないのかがわかりません!!」
「・・・は?」








・・・どうしよう・・・。
先生に聞いてさっきの問題は、解けた。次の問題も、また職員室に行って聞いた。
・・・三問連続で聞きにいけない・・・!!
もう、しばらく休憩!2門解いたし(正確には先生が解いたんだけど・・・)休憩位いいよね!







試験前は全部活動が一週間停止になる。
ちょっと調べ物ついでに今回の試験勉強は図書室を使わせてもらう事にしていた。
図書室に通い出して五日目。図書室では見かけない顔を見かけた。
・・・
なんとなく声を掛けずに見ていたら、教科書とノートを広げだし、ウンウン唸り出す。
そうか、勉強しに来たのか・・・めずらしいな。

結局・・・どうやら一問目から躓いたようで教科書を掴んで出て行ったかと思うと20分後くらいにスッキリした顔で戻ってきた。
しかしまた教科書を掴んで出て行ってー・・・またスッキリした顔で戻ってきて。
三回目また腰を浮かせたと思ったら、今度は困った顔しながらそのままイスの上に座り直した・・・と思ったら
・・・寝てる・・・。

?・・・ー?」

声をかけても応答ナシ。・・・すごいな。







・・・ビックリしたっていうかー・・・ビックリしすぎてなにがどうなってるのか訳わかんない。
なんで私、乾に起こされてるの?!

「オイ。いい加減そろそろ起きないと下校時刻過ぎるぞ。」

イイ夢見てたんだけど、誰かが私を呼んでる・・・惜しいなぁ。
残念に思いながら瞼を開けると、なぜか愛しの乾のドアップ・・・!!

「わ・わぁっ!!」
「おぉ」
「い、乾?!な、な、なんでこんな所に・・・って、ここドコ!?」
「図書室。」
「へ?図書室?なんで私そんな所に・・・」

寝起きで何も憶えてない、何もわからない・・・うぅっ。

「なんでって・・・勉強しに来たんじゃないのか?」

・・・はて?

「あーそうだ!!三問目がわからなくなって、ちょっと休憩のつもりで伏せたら寝ちゃったんだったよー」

あははー・・・なんて笑ってみたり。
乾には格好悪い所しか見られてない。こんなんで私を見て欲しい、だなんて言えないよねー・・・。
格好悪すぎて自分で自分を笑っちゃうわ・・・アハハ。今夜はヤケッパチケーキ大会決定。







勉強苦手だと言っても、寝るとは・・・なかなかやるな。

「別にそんなに勉強しなくても平気なんじゃないのか?」
「・・・そうもいかないのよ・・・あはは」
「?」

は、ちょっと困った顔している。
俺には話したくないって・・・所かな?やっぱりなんか、面白くないな。

、もう下校時刻だし一緒に帰ろうか。道すがら話そう」





「大丈夫か?」
「あ、うん・・・」

なんだろう・・・図書室から出たらさっきよりが話さなくなってしまった。
うーん・・・。

「あのさ、乾」
「なんだい?」
「・・・私今度の中間で赤点二つ取ったらみんなより早く部活引退しなくちゃいけなくなったんだよね」

・・・・・・。
予想外な答えだったな。まぁあの陸上部顧問が考えそうな事だけど。

「・・・ヤバイのか?」
「かなりね。まぁなんとかなるとは思ってるけどー」
「あと2日しかないけど教えてやろうか?」

自分でもなんでそんな言葉が口をついたのかわからない。
・・・今までの自分の言葉・の事を考える時間を考えると一般的に見ると”恋”になる。
しかし、”恋愛中毒”に見られる<心拍数の上昇>等は見られない。・・・という事は?

・・・自分で自分がわからなくなるなんて、初めてだな。







乾に、乾に、乾に!!勉強を教えて貰う事になったー!!ヤッター!!!!
・・・・・なんて、思ったのもつかの間。言われてすぐは浮き足だってた。でも、よく色々考えた・・・放課後の教室で2人キリなんて
そうそうない事だし、ちょっと興奮しちゃった・・・でもそこまで考えて、あの乾に自分の馬鹿さ加減を
しかもマンツーマンで晒すハメになったと気付いて・・・もう後悔の嵐・・・。
でも、もうどうしようもないよね。教えてもらうの明日からだし、今更頭良くするなんて到底無理な話だし。

・・・いいわ、潔くいってやろうじゃない。







放課後授業一日目。
なぜかは凹んでるような顔つきで授業をスタートした。
しかし、は頭が悪い訳じゃない。教えていて解った事だが問題を解く要領がわからないだけなんだ。
だから、こういう言い回しだとこの公式を使う・だとかこういう問題だとこっちの公式の方が近道だ、とか
コツを掴ませる要領でやれば、すぐにの顔色はよくなる一方だった。
なんだろうな・・・が喜ぶ顔になると俺もなんとなく嬉しい様な気分になるのは。






スゴイスゴイ!!乾って、頭いいだけじゃなくて教え方もすごく上手いんだ!!
天は二物を与えずって言うけど、神様、乾に与えすぎです。
んー・・・でも、むむむ。ここまで(と言ってもたった2日間だけど)お世話になっておいてお礼ナシっていうのは
ちょっと失礼よねー・・・?下心アリって思われちゃうかな?でもでも、勉強教えるって誘って来たのは乾だし、
お礼しない方が失礼だよね???






約束の教える2日間が終わって試験第一日目、に試験最終日に昼飯どう?と誘われた。なんでも、試験勉
強会のお礼らしい。
「部活が無ければ」と快く引き受けた。

「よかったー!じゃあ部活無かったら・・・ファミレス位になっちゃうけど行こうね!奢らせてね!」

・・・ん?心なしか・・・鼓動が早い?・・・・・・・・・気のせいか。





私頑張ったよね。乾部活無ければいいよって言ってくれたよー!!
・・・何話そう・・・部活の事?趣味とか?自分の事ー・・は駄目だ。ボロしかきっと出ないで墓穴掘るのがオチ。

そして、試験最終日はもちろん吉報!!ヤッタ!!乾とファミレスデートだ!!







駅近くのガ●ト。そういえば女子と食事するのってマネージャー交えて部活の奴らと飯食ったの抜かすと初めてだな。

「乾ってさーなんでそんなに頭いいの?
「なんでって言われても・・・勉強は要領掴めば後は楽なもんだよ」
「・・・その要領が訳わかんないんだって」

はよく話す。と言っても五月蠅いようなタイプじゃなくて、相手の話を聞きつつ話すのが上手いから会話をしてて不快じゃない。

「部活かー・・・中学最期の夏になっちゃったね」
「そうだな・・・」
「でもさ、頑張ろうね!!お互いに!!・・・私は結果残せなくても満足出来る終わり方が出来るように頑張るよ!!」

切なそうな顔が笑顔に変わる。無理してるんじゃない表情。


・・・言うつもりは無かった。を混乱させるつもりは無かったから。
でも−咄嗟に出ていたって事は、やっぱりこれは・・・?


「最近の事考える割合が多いんだよな」


「・・・はぇ?」
お昼ご飯を食べ終わった後のファミレス。
いきなり乾がそう口にした。すごいいきなりだったから、つい変な返事の仕方をしてしまったー。

「私何か乾に悪い事した、かな?あ、もちろん勉強については迷惑かけたかもしんないんだけど・・・そんな悩ませるような・・・」
「いや、そういう意味じゃない」

じゃあ、どういう意味ですか・・・。
乾って、頭いいんだよね?・・・勘違いさせるような事って言うのかな・・・?

「好き・・・なのかな?」
「いや、私に聞かれても・・・」






がすごい狼狽している。それを見てたら、なんかしてやったりな気分になってきた。
自分でも意味不明なこの間からの不可思議な感情。今までに未確認な感情だからこそ、きっとこれがそうなんだろうな、と大体検討はついてはいる。

は、どっちがいい?」
「は?!」
「愛情か、友情か。」
「・・・それ、なんか私に答え求めるのって間違ってると思うんですけど・・・」

そうだな。まぁ検討はついてるんだから答えを求める必要も無いんだが。
の耳が赤くなってるから、多分・・・そう、60%位で俺は手に入れられるハズだ。

「多分、が好きなんだ」
「多分って・・・」
「自分ではこの感じは初めてだからな。」






「それって・・・」

乾が私を好きって事・・・って事は、どうすればいい?どう返事すればいいのっ!?
いい言い方が見つからない・・・うぬぅ。
・・・素直に喜べばいいって事、かな?

、また飯食いに来ないか?あと、そうだな・・・試合も見に来て欲しい」
「うん、私、乾が好きだよ!!」















まさに今の私は<あなたしか見えない>。
でもきっと乾もそうだよね?
ところで・・・なんで乾は私を好きになってくれたんだろう???今度聞いてみよう。うん、それがいい。






気に入ってはいたがこういう結果になるとはな・・・。
でも、そうだな・・・みんな恋愛に夢中でなにが楽しいんだって思ったが・・・そうそう悪くない。
うん、なかなか心地いいじゃないか。



次のオフはどこへ行こうか?







終わり








12121hitでキリリク東 梅花さんへ☆
20100331:改訂