私が好きって事、桃のせいで好きな相手にバレタ。
その時彼の反応は私を期待させるようなもので・・・でも、彼の事だからそんな気は無いのかもしれない。
ねぇ、何考えてるのか検討もつかないよ、海堂君・・・?
+OPEN MIND+
・・・眠れなかった・・・。
昨日の帰り際、海堂君に
<明日ミーティングだけで帰れるから待ってろ>
って言われた。
私が海堂君の事好きってバレた上での発言。普通なら期待しちゃう所で、実際私はしばらくは浮き足立ってたんだ。
でも、考えれば考える程・・・足りなさ過ぎる海堂君の言葉の裏に、そんな意味はこもって無いように思えてきて。
だって、桃が言った事がどういう意味か聞きたいだけだったかもしれないし、
話の流れがわからなくて順を追って聞きたいだけかもしれない。
一度ネガティヴな考えにはまってしまうと抜け出せないもので、私の思考はとうとう
「断りたいけど、ここじゃ可哀相だから明日人の少ない所でって思ってるのかもしれない」
っていう考えにまで及んでしまって・・・本当に泣きそうになった。
シャーペン借りた位でイイ気になって、落としまでするからバチが当たったんだ・・・!!って、
また結局その思考に辿り着く懲りない私。
でも、今度こそ本当に懲りました・・・だから、お願い!!せめて誤魔化せるような状況であって下さい、カミサマ!!
・・・あー学校行きたくない・・・。
足取りも重く、学校へ向かう。
こんなに学校行くのが辛いのなんて、何年振りだろう?最近は友達に会えるのが楽しくてサボリたいなんて思った事無かったのになぁ。
しかも、今の私は海堂君の隣の席。
地獄と言っても過言じゃないかもしれない。放課後まで保つんだろうか。
「おはよー」
「あ、オハヨー」
教室のドアを開けると途端に掛けられる声。
友達に相談したい・・・けど、自分がアホ過ぎて恥ずかしくて、そんな気にはなれない。
教室の入り口に立ったまま自分の席を見ると、まだ隣の海堂君は来てないみたいだった。
あ、そうか・・・今日は朝練ある日だったっけ。
なんだか随分とホッとして自分の席に着く。
どうせ海堂君来るのなんかすぐなのに。まだ誤魔化す覚悟どころか、振られる覚悟すら出来てない。
「・・・ハヨ」
いきなり頭上からかけられたやたら低い声・・・か、海堂君っ!!
伏せていた顔を上げられないまま、私は小さく答えた。
「を・をはょぅ・・・」
どんな顔して海堂君を見ればいいの?
今までどんな声で、どんなテンションで海堂君に挨拶してたっけ・・・?
そんな簡単な事すら解らなくなってしまう。
まともに顔を見れない、話せない。そんな態度が相手にどう思われるか位わかってるけど・・・出来ない。
「」
「・・・ハイ」
「放課後、昇降口で待ってろ」
「・・・ハイ」
「別に、嫌なら・・・待ってなくていい」
逡巡の後、すごく切なく響いた海堂君の言葉。
・・・ヤバッ!!咄嗟にそう思って、つい顔を上げる。
でも・・・
「いや、待ってる」
どうしたって出てきたのは、そんな素っ気無い返事。
私ってかわいくない・・・。
それからの6時間は、私には自分との戦いだった。
昨夜だって、戦ってた。
でも、もう私の頭にあるのは「振られたらどうしよう」とか「誤魔化したい」っていう気持ちじゃなくて。
かわいくない自分を認識したら、なんだか開き直れたんだ。だって、今更自分は変えられない。だったら、振られるにしても、
後味スッキリさせたいって思えた。
・・・海堂君に迷惑かけたくないから。
掃除を終えて、昇降口に立つ。
見知った子がバイバイって言って行く中で、私はやたら落ち着いてしまっていた。
うん、大丈夫。どんだけ辛くても、海堂君の前では泣かないでいられる・・・大丈夫、大丈夫。
「」
「あ、お疲れ様」
ホラ、笑えたよ。
「・・・どこか寄ってくか?」
「うん、なんでもいいんだけど・・・そうだね、少しお腹空いたかも」
そう言いながら、バス停に向かう。
海堂君と私は青学前からバスに乗る。今日も、そのつもりで。
「」
「なに?」
海堂君の前を歩いていた私は、顔だけ振り返った。
振り返った先にあった海堂君の顔が、強張ってた・・・。
「駅まで歩く」
「あ・・・うん」
有無を言わさない口調・・・まぁ、いつもそうだけどさ。
でも、<いよいよか・・・>と<先に話しちゃうんだ・・・>と両方思った。
ここまで悩んだら、もうスッキリ楽になりたい気もするんだけど・・・さすがに、振られた後でどっかに寄る余裕は無いな・・・。
そんな事を考えながら歩いていて、気付いたら歩調が遅くなっていたのか・・・
前を歩いていた自分はいつの間にか海堂君に抜かされていた。
無言。
必然的に重くなる空気を変える気は私には無くて。私には、海堂君が言葉を発するのを待つしか出来ない。
「・・・」
「う、うん」
「昨日の事・・・その、桃城が言ってた・・・意味、だけど・・・」
言いにくそうに、本当に言いにくそうに、海堂君は話し出した。
そこで、思わずハッとする。
ごめん・・・海堂君・・・私って本当馬鹿だ・・・!!
私は、ここにきてやっと、自分の失態に気が付いた。
私は、自分から「好き」ってちゃんと伝えていない。
あの時、桃に言われたのは予想外だった。
まだ伝えるつもりじゃなかったから余計に、誤魔化す事ばっかり考えてた。
でも、じゃあ・・・それを聞かされた海堂君は・・・?
振るにも振れない。あんな人づてで聞かされた<好き>じゃ。
しかも、あの時の私の態度はいかにも「逃げる事しか考えてません」って態度で・・・。
そんな態度な馬鹿な私は、席が隣だ、とか下らない自分の事ばかり考えてて、あのまま自分が逃げてた場合、海堂君の方が
きまずいって事、これっぽっちも考えてなかった。
ちゃんと自分の気持ち伝えて、白黒ハッキリさせなきゃ・・・!!
「海堂君、ごめん!先に私が少し話していい?」
「・・・あぁ」
大きく息を吸い込む。
「桃に先越されたけど、ちゃんと、言わせて下さい。海堂君が好きです。」
玉砕覚悟の告白。
ちゃんと伝えられれば、後悔も無いね。
ちゃんと、友達にも戻れる。
「・・・なんで、俺なんだ・・・?」
「・・・怖そうに見えてホントは優しい所とか・・・しっかりしてそうで、まるまる曜日間違えるような忘れ物しちゃったりする所とか・・・
テニスにぞっこんな所とか・・・。」
数えだしたら、キリがない海堂君の魅力。
海堂君は、まだ続きそうな私を手を上げて止めさせた。
・・・耳が赤い?
「・・・・・・の抜けてるトコ・・・思ってる事すぐ顔に出るトコ・・・・・・いつも笑ってるトコ・・・」
「・・・?・・・なに、かいど・・」
「・・・俺、好きだ」
さっきまで、耳だけ赤かったのが今では顔中真っ赤で。
そしてそれは私にも伝染してて・・・
「が、好きだ。」
「・・・つ、つき・・あえますか?」
「・・・おう」
ちょっと憮然として答えてる海堂君。
誤魔化す必要なんか・・・そうか、無かったんだ・・・。
でも、それでも馬鹿な私は、あぁやって悩まなければ色んな事に気づかないままだったね?
海堂君と、そのまま握手を交わした。
私が差し出した手をそのまま握ってくれて・・・海堂君は離そうとしたけど、
「このまま手、繋いで歩いていい?」
って引き留めて。
ねぇ、この後どこに寄ろうか?
閉幕
20100331:改訂