「あ、お菊おはよー」

朝の通学路、偶然会った菊丸に挨拶する。

「おい、あの後タカさんとどうなったんだよ!」

・・・菊丸君、朝の挨拶は・・・?








野次馬






「だーかーらーうるさい!」
「五月蠅いも何もさーなんかあったんだろ?その反応はあったと見た!!」

あれから今歩いているこの教室に向かう廊下まで、ずっと菊丸は私にタカさんとの仲を聞いてきていた。

「なんで菊丸に教えなくちゃならないのよ」
「友達だからだろ?」
「嘘つけ!!単なる野次馬のクセに!!」

菊丸には余り言いたくない・・・。
どうせ今日部活が終わるのを待って、一緒に帰ることになっているのでバレるのは時間の問題なんだけど・・・
なんか、こいつに教えるのシャクじゃんか。
絶対楽しんでるしさ。

「あ、ちゃんおはよー」
「おはよーん」

教室のドアを開けるとドアのすぐ横に居た友達が挨拶をしてくれる。

「あれー?2人で来たの?」
「いや、そこで会っただけ。」

これで話は打ち切りだと言うように友達の輪に入って行く私を見て、さすがの菊丸も諦めたのか自分の席に戻った。
そうそう、それでいいのよ・・・。
朝が弱い私にしては、上手く撒けたんじゃなかろうか、なんて自画自賛。

・・・しかし、私は甘かった。


1時間目終了後。

「・・・なんで不二が増えてんのよ・・・」

菊丸は先生が行ったと同時に不二を引き連れて私の席に来たのだった。

「聞いたよ、昨日タカさんと二人で帰ったんだって?」

にこにこ笑いながら不二がまず語りかけてきた。
心なしか、二人の部分に力が入っているようなのは気のせいだろうか・・・?

「うるさい・・・私で楽しんでんじゃないわよ・・・」

菊丸は不二の後ろで「お〜こわっ」とか言っている。知った事かい。

「やだな、楽しんでる、なんて。僕は応援してあげてるのに・・・」
「うそつけー!!」

はっ!ついつい突っ込んでしまった・・・。
こんな風にいつも不二の術中にはめられてしまうんだから、今回は気を付けていかないと!

「ひどいな・・・そんなに楽しんでるように見えるかな?」
「見えますねぇ・・・」

あぁ・・・早くどいてくんないかな・・・不二と話してるの精神的に害なんだよね。
常に気を張ってないと何言わされるかわからないし・・・あ、不二は警部とかに将来なればいいのかもなぁ。
したら犯人がどんなに口割らなくても不二の誘導尋問のおかげですぐ事件は解決だよね。

「・・・って、、聞いてる?」
「あ、お菊ごめん。何?」

ヤバ、今私どうでもいい不二の事ですっげーいい考え浮かんでたわ。

「もう・・・」

そう不二が呟いた時、チャイムが鳴る。

「さ、鳴ったよ!早く二人とも自分の机におかえり!」
「・・・いいの?」
「なにが?」

ニヤリ笑いを浮かべる不二・・・なんだか嫌な予感。

「あーあ、折角フォロー入れてあげたのになぁ・・・タカさんに」
「はっっ?!」
「あ、戻らないと!ちゃん、じゃあ!」

ちょっと待てー!!なんだその捨てぜりふはー!!
結局、その後次は教室移動、その次はなぜか2時間連続で体育で不二とは話せず。
決戦は・・・昼休みとなった。




「さぁ、何タカさんに言ったのか話してもらいましょうか?」

相変わらず美味しそうな弁当を広げた不二の正面に私もお弁当を持って座る。
私に色気が無いせいかなんなのか、人気がある不二と弁当を食べてても噂にすらならない自分が少し哀しくもある。


「その話はしたくないんじゃなかったの?」
「うるさい。気になるようにしかけたのはそっちでしょうが」

憎たらしい程の笑顔の不二。
その他の女の子はそれで騙せるんだろうけど、私はそうはいかないわよ。

「いやぁ、特に何もしてないんだけどなぁ」
「さっき言い捨てたのは嘘かい!?」
「嘘でも無いよ」

・・・なんだこの会話。
っていうか、なんでこの男はそうのらりくらりと逃げるのが上手いんだ???

「いい加減吐いたらどうなのっ!!」

バンバン机を叩く私・・・はっ!私が警部になってどうするっちゅーねん!

「別に、大した事言った訳じゃないんだよ。ただ、ちゃんの好きな人知ってる?って聞いただけ」
「・・・それだけ?」
「うん。で、知らないってタカさんが言うから菊丸と、僕らは知ってるよって自慢してみたんだよね」

自慢て・・・自慢・・・?

っていうか、このすっげー嬉しそうなニコニコ顔がうざい。

「っていうかさ」
「なに?」
「好きな相手本人前にして自慢してどうするの・・・?」
「あぁ、それね。タカさんさ、ちゃんは菊丸が好きだと想ってたみたいで・・・」
「あ、うん。言ってた」


・・・・・・あーーーーーー!!!!!


「なんだ、やっぱりくっついたんじゃん。」

やっぱり誘導尋問だった・・・いつの間にやら。

「くそぅ・・・卑怯者!!」
「何言ってるの、勝手に言ったのはそっちでしょ。大体、なんで言わないのさ」
「なんか悔しいじゃないよ・・・」

微笑んでる不二を後目に、とりあえず私は弁当をほおばる。
もう・・・こいつにバレたらしょうがないし、もういいや・・・。

「それで?」
「・・・あぁ、菊丸が好きなんじゃないよって遠まわしに教えてあげようと思って、フォロー入れておいたんだよ。
「・・・それってフォローなのかな?」

満足げに言う不二に突っ込んではみたものの、結局いつも通りスルーされる。

「・・・今日は部活終わるの待ってるの?」
「うん」
「あ、素直」
「五月蠅いわね」

テニスコートに行けばタカさんに会える。
教室に行っても会えるけれど、私はテニスを頑張ってるタカさんが好きだ。
そんな私はきっと、今日も明日も明後日も、放課後タカさんを待ってコートを眺めているんだろう。
・・・3-6コンビの冷やかしをかわしながら。



終わる

20100401:改訂