「真さん・・・」

 いつもの臣にしては饒舌だった。
別に何を語りかけてきたわけでもない。なのに、なぜか饒舌だな、と思った。
饒舌だと思った割にはそのまま臣はあまりしゃべらずに運転していて…
いつの間にかその手に軍手をしているのに気付いた。

 (あれ?軍手なんか嵌めてたっけ…?)

そう思った、と同時に徐行する車。
あまり知らない道の、少し暗い路地に車は止まった。

 「臣、運転代わるの?」

そう聞くと、臣は頭を振る。
ちらりと見えた臣の顔が少し赤い気がした。どうしたんだろう?なんか重要な告白でも…?
そう、思った時。

 「染谷さん…すまん…」
 「…え?」

え、と返事をしたと同時にシートが倒され、ガクンッと座ったまま仰向けになった。
仰向けになったままシートの後ろを見ると、乗ってた車はいつも臣が乗ってる軽トラじゃなくて、エスティマ位の広さで。
よくわからない状況ながら、これ位のも使い勝手良さそうだな〜なんてのんびり考える。

と、ベルトを外す音が耳に届いた。
…ベルトっ?!と慌てて視線を向けると、臣が…臣が、俺の股間を握っていて…

 「お、臣、どうしたの…?こんなとこで…そ、そうだよ、こんなとこで、誰かに見られたら…」

嬉しい反面、余りの積極さに聞かざるを得なかった。
だって、臣が…臣だよ?!
なのに、俺の動揺を見て真っ赤な顔のまま「させてくれ」と臣は言った。

 「な、なん… お、…みっ ん、っ」

有り難い申し出だけど…だけど…!と混乱していると、下半身が湿った感触に包まれゾクゾクッと背筋が伸びた。
感触だけはよく知ってるものの、その行為と臣がどうしても結び付かなくて、飛び起きる。
焦った視界に飛び込んできたのは、紛れもなく、臣で。

 「ふ、ぁ…っ!!ま、まっ、て おみ…おみっ」

臣が俺の熱を咥え込んでるという衝撃的な現実に、それだけで腰がビクビクと跳ね上がる。
跳ね上がったせいで臣の口に押し込む形になってしまい、「う、けほっ」と少し苦し気な声が耳に届くが、
伸ばした自分の手は臣の髪の毛を弱々しく握るだけだった。

 「染谷さん、気持ち良くなって、くれ…」
 「ん…ぅん…っ …っ!」
 「これ、イイって…聞いたから…」

さっきまで咥えていた俺の熱に、唾液を垂らして湿り気を足すと…軍手を嵌めたまま、緩く扱き出す。

 「ぇ…っ は、うっ!、お、おみ、待って…っ!!んあぁっ!」

 軍手の凹凸が不思議な快感を引き出していた。
そんなに力は入れていない様なのに、こするのとは別の不思議なリズムを生み出している。
気付けば、先走りなのか足された唾液なのかわからない程ぐちゅぐちゅと恥ずかしい音を立てて、
臣が俺の熱を軍手の突起と舌で擦りあげている。
車内中に淫猥な音が響き、その音と、初めて味わう軍手の凹凸、なにより臣が奉仕してくれているその姿で
すぐに限界が近付く。

 「おみ、おみ…で、そう…」

素直に告げるとちらりとこちらを見て、幸せそうに微笑んでくれる。

 「いいんだ…このまま出してくれ」

そう言いながら擦る手が早まる。
おみ、もうだめ、本当に出ちゃう…っ

 「おみ、おねが… 口に、出したい…」

臣の口に出すなんて。臣を汚すなんて、と思いながらも願いを口にすれば、それすら快感で。
臣は、微笑むと手はそのままに、先端を口に含んでくれた。躊躇もなく。

 「イ、あ…っ でる、おみ、でる…っっ!!       っ!」












 目を覚ました瞬間、こんなに虚しい事はない!と叫びそうになる口を覆った。
付き合えた事が嬉しいとはいえ、嬉ションならぬ…くそっっ!!
恐る恐るシーツを…剥がなくたって湿った感触でわかるわーい!!…と、齢46にして夢精した事実にむせび泣いた…。
臣…汚してごめん…俺のなんか絶対咥えさせないからね!安心してね!!と心に誓いつつ…
それにしても、臣…エロかった…と物思いに耽る朝。二度寝は諦める事にした。


おわり